QC7つ道具のひとつである層別について解説。
製造業の現場で改善の手始めによく使われる手法だ。
身近な活用事例として家計への応用もあるので、これから家計の見直しを始めようとしている人にもおすすめだ。
「層別」とは
対象となるデータを、共通点や特徴によって選別・分類すること。
QC7つ道具のひとつ。
「層別」をもう少し詳しく
層別を実施することにより、対象となるデータの性質を掴むことができる。
また、層別は他のQC方法を実施する基になるため、分析の礎と言っても過言ではない。
そもそも、層別を手法のひとつとした人は偉いなと思う(層別ではなくグラフがQC7つ道具という説もあるが、個人的には層別派)。
これは仕入れたミカンを重量で層別した結果だ。
102g~108gが多いということが分かる。
ここで更に産地別で層別してみると、産地Bで作られたミカンの方が重く、数も多いことが分かる。
「産地Bの生産方法を分析して産地Aに適用できないかな・・・」とかアイデアが出てくるかもしれない。
「層別」を実施する際の注意点
製造業にて層別を実施する際は下記の5Mを意識するとよい。
- Material(材料):産地・メーカ・保管状態・生産時期 等
- Machine(機械):個体・メーカ・治具・工具 等
- Man(人):作業者・チーム・シフト・作業時間 等
- Method(方法):作業・ルール 等
- Measurement(計測):計測値・計測器・計測手順 等
なお、使用するデータの信憑性がないとせっかく層別を実施しても意味がなくなるので、データの取得方法検討・履歴管理が重要だ。
「層別」に関する雑記
層別の仕方でQC手法による分析のレベルが決まるため、重要な概念と言えるだろう。
何か問題が発生しデータを集めて分析する際は、関係メンバを集めてブレーンストーミングしながら層別を行い、パレート図や特性要因図といった他のQC手法で検証すると解決の糸口が掴みやすい。
場合によっては分析がうまくいかず何度も層別→分析を繰り返すこともあり、担当者のしつこさ・執念が重要になることもある。
「層別」を身近で活用するなら
身近で分析したいものといえば、家計における出費ではないだろうか。
お給料(収入)は簡単には増やせないけど、出費(支出)は自分の努力で変えられるので、その作戦を練るためにも分析は必要だ。
出費を、食料費・住居費・光熱費・水道費・通信費・交通費等に分類することも立派な層別である。
層別により分類された項目の各値を、パレート図などの他の手法で分析することで出費の特徴を掴み、改善方法を検討・実施していくのが理想かな。
「層別」のまとめ
層別は、対象となるデータを共通点や特徴によって選別・分類すること。
身近な経営工学視点では、家計出費分析の取っ掛かりにも活用が可能だ。