【書評】八島式TOEIC L&Rテストの英語が聞こえるようになる本|リスニング

書評

英語を身につけたい日本人は多いのだろう。巷には英会話教室や教材、書籍が溢れている。いや、溢れ続けているといった方がよい。

なぜ溢れ続けているのかと言えば、英語を身につけたい日本人が多いままだからだ。

私もその一人で、TOEICでは800点を超えるものの(2023年8月 805点)、TOEICのリスニングパートを一生懸命聞いて8割程度なので、ネイティブが話す初めて聞く内容は半分も理解できない。

自分のリスニング力を効率的(つまりは経営工学的)に底上げしたいと思い、手に取ったのが八島式TOEIC L&Rテストの英語が聞こえるようになる本だ。

英語中級者の視点で本書について述べていく。

どんな本?

英語中級者(対象600点以上)向けに、英語が聞こえるようになることを目指すための考え方・スキル・練習問題をまとめた本。

本書の特徴

八島氏は現役ビジネスマンながら2013年にTOEIC990点を取得し、これまで5,000人以上を指導してきた。

数多くのセミナーのなかで受講生共通の「聞き取れない音」があることに気づき、本書にはそのエッセンスが詰まっている。

代表的なのが「L(エル)」を含む単語だ。読めば簡単な英語も、聞くと理解ができない場合が多いため、解説箇所が多い。

例を下記に挙げる

  • holdng ⇒ 誤:ホールディング 正:ホゥゥディン
  • tool ⇒ 誤:ツール 正:トゥーゥ
  • helmets ⇒ 誤:ヘルメッツ 正:ヘゥメッts
  • wall ⇒ 誤:ウォール 正:wォーゥ

「誤」が日本人が陥りやすい誤った発音、「正」が八島氏が採用した発音記号を使わない実際に近い音の表現だ。ただし、絶対的に正しいということではなく、学習者が聞こえた音を大事にしてほしいとのことだ。

正しい音を理解しないと聞き取れないのは当たり前だ。そして英語は単語のつながりにより聞こえない音が多いため、その傾向も理解しておかなければならない。

気持ちを込めた音読

本書の前半は、Part 1・2を素材として、TOEIC L&Rの英語を聞き取るために必要な音を身に付けられるように構成しているが、後半ではPart 3・4を素材として、「音」に加えて「語順」を身に付けることも目指している。

「語順」を身に着けるために推奨されているのが「気持ちを込めた音読」だ。

英語が聞こえるようようになるには、聞こえた音を日本語に変換するのではなく、英語のまま語順通りに理解できなければならない。

そのために、音読する内容を誰かに伝えるように気持ちを込めて音読することで、語順通りに伝える⇒理解するに繋がっていくのだ。

実践すると疲れるが、ただ音読するより大きな効果があるだろう。

アプリ 英語の友

本書には音声CDが付属しているが、旺文社リスニングアプリ「英語の友」に対応しており、音声データをダウンロードできる。

速度調整も簡単なのでアプリを使用した方が便利だろう。

読んだ後の効果

アメリカ英語・カナダ英語よりも聞き取りにくいイギリス英語・オーストラリア英語にも本書は力を入れているため、それらの違いを実感しやすい。

個人的な事だが、2023年に入ってからRRRという映画にハマってしまい9回映画館に行ったが(2023年11月13日時点)、本書を読んだ後は登場人物の英語がイギリス英語であることを強く実感できた。

全体的に本書のイギリス英語っぽいと感じられたし、ジェニーがcan’tを「カンt (←本書方式表現)」と言ったのを聞き取れたときは嬉しかった。

このように学習の効果が得られる機会があると、更に楽しくなっていくだろう。

まとめ

英語中級者(対象600点以上)向けに、英語が聞こえるようになることを目指すための考え方・スキル・練習問題をまとめているが、800点取得者にとっても知らないことだらけで多くの気づきがある本だった。

公式問題集による学習だけで壁を感じた中級者に特におすすめだ。

活かせるポイント

  • 正しい音を身に着けることが重要
  • 消える音がたくさんあることを理解することも重要
  • 気持ちを込めた音読が大事
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